人材定着と信頼型組織づくりの伴走役
企業経営カウンセラー® 岩出優です。
「最近、若手がすぐ辞めてしまう」
「ベテランまで離職を考えているらしい」
そんな声を耳にすることが
増えていないでしょうか。
人が職場を離れる理由は、
給与や労働時間などの
条件だけではありません。
もちろん、待遇や働き方は大切です。
ただ、それ以上に深いところで、
「この会社にいて、
自分は守られているのだろうか」
という静かな不安が、
離職の背景にあることがあります。
特に顧客対応の現場では、
この不安が強く表れます。
理不尽な要求を受けたとき。
人格を否定するような
言葉を浴びせられたとき。
長時間にわたって
責め続けられたとき。
その瞬間に、会社が自分の側に
立ってくれるのか。
それとも、
「お客様のことだから仕方ない」
「うまく対応するのも仕事のうち」
と片づけられてしまうのか。
この違いは、従業員の心に大きく残ります。
「あなたを守る」が伝わった瞬間
ある小売業の店長から、
こんな話を伺ったことがあります。
常連のお客様から、
繰り返し人格を否定するような
言葉を浴びせられていた
パート社員がいました。
その様子を見た店長は、
彼女にこう声をかけたそうです。
「もう対応しなくていい。次に来たら自分が出る」
それだけで、
彼女は涙ぐんだそうです。
特別な制度を整えた
わけではありません。
大がかりな仕組みを
つくったわけでもありません。
ただ、
「あなたを一人にしない」
「会社はあなたを守る」
というメッセージが、
行動として伝わった。
その後、その方は
長く勤め続けてくれたそうです。
人が職場に残る理由の根っこには、
こうした「守られている感覚」があります。
我慢を求める言葉が、
離職のきっかけになる
逆に、危ういのは次のような言葉が
当たり前になっている職場です。
「お客様のことだから我慢して」
「うまくかわすのも仕事のうち」
「それくらいで気にしないほうがいい」
言っている側に、
悪気はないかもしれません。
現場を回すために、
何気なく口にしているだけかもしれません。
しかし、受け取る側にはこう届きます。
「会社は自分を守ってくれない」
この感覚が一度染みつくと、
表面的には笑顔で働いていても、
心の中では少しずつ
距離が生まれていきます。
そして、ある日突然のように
退職の申し出が出る。
でも実際には、突然ではありません。
守られなかった経験が、
静かに積み重なった結果です。
守られている感覚は、
日常の言葉と態度で育つ
守られている感覚は、
立派なマニュアルや研修だけで
生まれるものではありません。
もちろん、カスハラ対応の基準を
明文化することは重要です。
どこからが不当要求なのか。
誰に相談すればよいのか。
現場だけで抱え込ませないために、
どんな手順で対応するのか。
こうした仕組みは必要です。
ただ、それ以上に現場で効くのは、
上司が日常的に発する言葉や態度です。
「あの対応、つらかったよね」
「無理しなくていい。次は代わるから」
「一人で抱えなくていいから、すぐ言ってね」
こうした一言があるだけで、
従業員の感じ方は変わります。
また、理不尽な相手に対して、
上司自身が毅然と
対応することも大切です。
「ここから先は従業員を
守るために対応できません」
そう示す姿は、
現場に強い安心感を与えます。
トラブル後に従業員を一人にしないこと。
短くても面談の時間を取ること。
「あなたのせいではない」と伝えること。
こうした小さな積み重ねが、
「この会社は、自分の盾になってくれる」
という信頼を育てていきます。
人材定着の土台には、安心感がある
人材不足が深刻化するなか、
多くの会社が採用に力を入れています。
求人広告を出す。
採用ページを整える。
面接のやり方を見直す。
もちろん、採用の工夫は必要です。
ただ、いま働いてくれている
人が安心して働けない職場に、
新しい人を迎えても、
定着は難しくなります。
採用にかけるコストと
労力に比べれば、
いま目の前で
働いてくれている人を
守ることのほうが、
はるかに費用対効果は
高いはずです。
守られている感覚がある職場では、
従業員は安心して力を発揮できます。
困ったときに相談できる。
理不尽なことを一人で抱えなくていい。
会社が自分の味方でいてくれる。
この安心感があるから、
人はもう少しここで
頑張ろうと思えるのです。
あなたの部下は、
守られていると感じていますか
制度を整えることは大切です。
マニュアルをつくることも、
研修を行うことも、もちろん必要です。
ただ、その前に管理職一人ひとりに
問いかけたいことがあります。
「あなたの部下は今日、
守られていると感じながら
働いていますか」
この問いは、とてもシンプルです。
けれど、職場の信頼関係を
見直すうえで、
とても大切な問いです。
人は、守られていると
感じられる場所に残ります。
そして、守られていると
感じられる職場には、
少しずつ信頼が積み重なっていくのです。
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ここまでお読みいただき
ありがとうございました。
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人材定着と信頼型組織づくりの伴走役
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