社員を守る姿勢は、
採用にも定着にも効いてくる
「最近、応募が来ても続かないんですよね」
「せっかく育てた若手が辞めてしまって……」
人事担当者の方とお話ししていると、
こうした声をよく耳にします。
賃金の見直しや働き方改革、
研修制度の充実など、
各社がさまざまな
人材定着施策に取り組んでいます。
その中で、これからさらに
重要性を増していくのが、
カスタマーハラスメント、
いわゆるカスハラへの対策です。
カスハラ対策は、
単に社員を守るための
取り組みではありません。
採用にも、定着にも
影響する経営課題です。
求職者は「社員を守る会社か」を見ている
今の求職者は、求人票に書かれた
給与や休日数だけで
応募先を選んでいる
わけではありません。
口コミサイトやSNSを確認し、
「実際に働いている人が、
どのように扱われているのか」
を見ています。
そこで、
「お客様にひどいことを言われても、
上司は助けてくれなかった」
「謝り続けることが仕事だった」
といった書き込みを目にすれば、
応募意欲は大きく下がります。
反対に、
「理不尽な要求には、
きちんと線を引いてくれる会社だ」
「現場を一人にせず、
会社として対応してくれる」
という評判が広がれば、
それだけで他社との差別化になります。
特に、接客・販売・コールセンター
・医療介護など、
対人業務の多い業界では、
「安心して働けるかどうか」
が、会社選びの大きな判断材料に
なっていきます。
カスハラは、見えにくい離職理由になる
定着面でも、社員を守る
姿勢は大きく関わります。
退職理由として「人間関係」が
上位に挙がることは
以前から珍しくありません。
ただ、その中には、
社内の人間関係だけでなく、
顧客との関係に疲弊して辞める
ケースも含まれています。
つまり、カスハラに耐えきれず
職場を離れる人がいるということです。
しかも本人は、
「お客様のせいで辞めます」
とは、なかなか言いにくいものです。
退職届には「一身上の都合」と
書かれていても、本音では、
「もう、あのクレーマーの
相手はしたくない」
「会社が守ってくれないなら、
ここでは続けられない」
と感じていることがあります。
会社が毅然とした対応方針を示し、
現場任せにしないことは、
こうした離職を防ぐうえでも大切です。
「守ってくれる会社」は、人を呼び込む
ある小売企業では、
悪質な顧客に対して、
「当社はこれ以上の対応を
いたしかねます」
と伝えるための
トークマニュアルを整備しました。
さらに、一定の条件を満たす場合には、
店長判断で接客を打ち切れる
権限も明文化しました。
その結果、
退職率が下がっただけでなく、
「ここなら安心して働ける」
と、知人を紹介する
社員が増えたといいます。
社員を守る姿勢は、
定着だけでなく、採用にも
つながります。
安心して働ける職場であれば、
社員自身がその会社を
周囲に勧めやすくなるからです。
巡り巡って、採用コストの削減にも
つながっていきます。
社員を守ることは、経営判断である
社員を守ることは、
単なる優しさではありません。
経営判断です。
もちろん、お客様は大切です。
ただし、すべての要求を呑むことが、
良い顧客対応ではありません。
理不尽な要求にまで
応じ続ければ、現場は疲弊します。
疲弊した現場では、
安定したサービスを提供し続ける
ことも難しくなります。
社員を守る会社こそ、
結果としてお客様にも
良いサービスを
届け続けられる組織になります。
まずは対応方針を言葉にする
カスハラ対策というと、
マニュアル作成や研修、
相談窓口の整備など、
多くの取り組みが
必要に感じられるかもしれません。
ただ、最初の一歩はもっとシンプルです。
まずは、
「理不尽な要求から社員を守る」
「現場任せにせず、会社として対応する」
という姿勢を、
一枚の文書にまとめ、
社内で共有すること。
その一歩が、
現場の安心感を支えます。
そして、その姿勢は、
次に応募してくれる人の安心にも、
今いる社員の
「ここで働き続けたい」
にもつながっていきます。
【お読みいただいた方へ】
ここまでお読みいただき
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