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相談窓口があっても相談されない理由

人材定着と信頼型組織づくりの伴走役

企業経営カウンセラー® 岩出優です。

 

カスハラ対策で見落とされやすい

「声が上がらない職場」の問題

 

「相談窓口は設置しているのに、

なぜか相談が上がってこない」

 

カスタマーハラスメント、

いわゆるカスハラ対策に

取り組む企業で、

よく聞かれる悩みです。

 

社内に相談窓口の

存在を周知している。
ポスターも貼っている。
研修でも案内している。

 

それでも、従業員からの

相談はほとんど上がってこない。

 

担当者としては、

「現場で問題が起きていないなら何より」

と捉えたくなるかもしれません。

 

しかし、相談件数が少ないことは、

必ずしも安心材料ではありません。

 

現場で問題が起きていない

のではなく、相談できない。

 

あるいは、相談しても

無駄だと感じられている。

 

そうした状態になっている

可能性があります。

 

カスハラ対策において大切なのは、

相談窓口を設置すること

だけではありません。

 

従業員が安心して声を上げられる

状態をつくることです。

 

相談をためらう理由は「遠慮」にある

 

現場の従業員に話を聞いてみると、

相談をためらう理由には

共通点があります。

 

まず多いのが、

 

「これくらいで相談していいのだろうか」

 

という遠慮です。

 

たとえば、

 

怒鳴られた。
長時間拘束された。
土下座を要求された。

 

客観的に見れば、

明らかにカスハラに

あたるような出来事でも、

 

本人は問題を小さく捉えて

しまうことがあります。

 

「自分の対応が悪かったのかもしれない」
「もっと大変な思いを

している同僚もいる」
「これくらいで相談するのは

大げさではないか」

 

そう考えて、相談する前に

自分の中で飲み込んでしまうのです。

 

特に接客業や対人サービス業では、

「お客様第一」の考え方が強く

根づいていることがあります。

 

もちろん、お客様を

大切にすることは重要です。

 

ただし、それが行き過ぎると、

従業員自身が自分を守る

感覚を失ってしまいます。

 

本来であれば会社に

相談してよい場面でも、

 

「自分が我慢すれば済む」
「現場で何とかするしかない」

 

と考えてしまう。

 

ここに、相談窓口が使われない

大きな理由があります。

 

「相談しても変わらない」という諦め

 

次に多いのが、

「相談しても何も変わらない」

という諦めです。

 

過去に誰かが相談したものの、結局、

「うまく対応してね」
「お客様だから仕方ないよね」
「現場で何とかして」

 

で終わってしまった。

 

あるいは、

相談したことが上司に伝わり、

評価に響いたという噂が流れている。

 

このような空気が

一度職場に広がると、

相談窓口は一気に

機能しなくなります。

 

従業員から見れば、

相談窓口は

「助けてくれる場所」ではなく、

「言っても意味がない場所」

になってしまうからです。

 

相談件数が少ないことは、

健全さの証とは限りません。

 

むしろ、

利用件数が極端に少ない場合は、

黄色信号と捉えた方が

よいこともあります。

 

問題が起きていないのではなく、

声が上がらない状態に

なっているかもしれません。

 

相談のハードルが高すぎないか

 

見落とされやすいのが、

相談するまでのハードルです。

 

たとえば、

社内メールで申請する。
所定の書式に記入する。
勤務時間内に担当者へ連絡する。

 

こうした仕組みは、

管理する側から見れば合理的です。

 

しかし、理不尽な要求や暴言を受けて

疲弊している従業員にとっては、

それだけで高い壁になります。

 

相談するには気力が必要です。

 

起きたことを言葉にするにも、

エネルギーがいります。

 

誰に知られるのか分からない

不安もあります。

 

そのため、相談のハードルを

どれだけ下げられるかを

考えることも必要です。

 

匿名で相談できるか。
社外の専門家につながれるか。
スマートフォンから

手軽にアクセスできるか。
上司を通さず

相談できるルートがあるか。

 

こうした選択肢があることで、

初めて声を上げられる人もいます。

 

相談窓口は、設置すれば

自然に使われるものではありません。

 

相談しやすい状態まで設計して、

ようやく機能し始めます。

 

相談後のフィードバックが

信頼をつくる

 

相談窓口を機能させるうえで、

特に重要なのが相談後の対応です。

 

相談を受けたあと、

会社が何をしたのか。

 

相談者本人に、

きちんと伝えているでしょうか。

 

たとえば、

「あなたの声を受けて、

こう動きました」

 

「今後はこのように対応します」

 

「同じことが起きた場合は、

ここまで会社が介入します」

 

このようなフィードバックが

あることで、相談者は初めて、

 

「言ってよかった」

 

と感じることができます。

 

反対に、相談したあとに

何の反応もなければ、

 

「やっぱり言っても無駄だった」

 

という気持ちが

強まってしまいます。

 

また、個別の相談対応だけでなく、

職場全体へのメッセージも大切です。

 

「会社はカスハラから従業員を守る」
「理不尽な要求を一人で抱え込ませない」
「困ったときは相談してよい」

 

こうした姿勢を、

繰り返し発信していくこと。

 

その積み重ねが、相談窓口を

「形だけの場所」から

「本当に使える場所」へと

育てていきます。

 

相談窓口は「設置」より

「信頼」が大切

 

カスハラ対策において、

相談窓口は重要な仕組みです。

 

ただし、本当に大切なのは、

窓口を設置すること

そのものではありません。

 

従業員が安心して

声を上げられること。

 

相談したあとに、

会社が動いてくれると

信じられること。

 

そして、会社が自分たちを

守ってくれると感じられること。

 

この信頼がなければ、

どれだけ立派な窓口を設けても、

現場からの相談は上がってきません。

 

相談件数の少なさを、

成果と捉えていないか。

 

従業員が本当に

相談しやすい状態になっているか。

 

相談後の対応が、

現場の信頼につながっているか。

 

一度立ち止まって、

自社の相談窓口を

点検してみることが大切です。

 

 

沈黙の裏側にこそ、

カスハラ対策を進める

ヒントが隠れています。

 

 

お読みいただいた方へ

 

ここまでお読みいただき

ありがとうございました。

 

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人材定着と信頼型組織づくりの伴走役

 企業経営カウンセラー® 

岩出 優(いわでゆう)

 

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