人材定着と信頼型組織づくりの伴走役
企業経営カウンセラー® 岩出優です。
カスハラ予防には
ルールと関係性の両方が要る
カスタマーハラスメント、
いわゆるカスハラへの対策として、
マニュアルや対応フローを
整備する企業が増えています。
方針を決める。
相談窓口を設置する。
対応基準を明文化する。
管理職や従業員向けの
研修を実施する。
こうした取り組みは、
カスハラ対策を進めるうえで
欠かせないものです。
しかし、現場からは次のような声を
聞くことがあります。
「ルールはあるけれど、実際には相談しにくい」
「上司が本当に守ってくれるのか分からない」
「結局、自分で抱え込むしかない」
ルールを整えたはずなのに、
現場でうまく機能しない。
このような状態は、
決して珍しいものではありません。
カスハラ予防には、
ルールづくりと同じくらい、
職場内の関係性づくりが重要です。
カスハラ対策は
ルールだけでは機能しにくい
カスハラ対策というと、
まず思い浮かぶのは
マニュアルや対応フローです。
もちろん、ルールは必要です。
どのような言動を
カスハラと捉えるのか。
どの段階で上司に報告するのか。
どこまで現場で対応し、
どこから組織として対応するのか。
こうした基準がなければ、
現場の判断は属人的に
なってしまいます。
担当者によって対応が違う。
上司によって線引きが違う。
その結果、従業員が
「結局、誰に相談すれば
いいのか分からない」
と感じてしまうこともあります。
だからこそ、
明確なルールや基準は必要です。
ただし、ルールがあるだけでは
十分ではありません。
現場の従業員が、
「これは上司に相談していい案件だ」
「会社は自分を守ってくれる」
「報告しても責められない」
と感じられなければ、
ルールは使われないままに
なってしまいます。
ルールを使えるかどうかは、
関係性に左右される
たとえば、ある小売企業では、
「謝罪は三回まで。
それ以上の要求には
上司へエスカレーションする」
という明確なルールを設けていました。
一見すると、
とても分かりやすい基準です。
しかし実際には、
現場スタッフが上司への
相談をためらい、
ひとりで何時間も
顧客対応を続けてしまう
事例が続いていました。
なぜ、ルールがあるのに
相談できなかったのか。
原因を探っていくと、
過去に相談した際に、
「そのくらい自分で何とかして」
と言われた経験が
尾を引いていたことが分かりました。
一度こうした経験をすると、
従業員は次から相談しにくくなります。
「また突き放されるかもしれない」
「自分の対応力がないと
思われるかもしれない」
「忙しい上司に
迷惑をかけるかもしれない」
そう感じてしまうと、
どれだけルールが整っていても、
現場では発動されません。
ルールがあっても、
それを使える関係性がなければ、
結局は個人の我慢でしのぐ
職場に戻ってしまいます。
ここに、カスハラ対策の難しさがあります。
関係性だけでも不十分になる
一方で、関係性だけが良ければよい、
というわけでもありません。
上司と部下の距離が近い。
相談しやすい雰囲気がある。
職場の人間関係が良い。
これは大切なことです。
しかし、
判断基準が曖昧なままだと、
対応が人によって
変わってしまいます。
ある上司はすぐに対応してくれる。
別の上司は「もう少し様子を見て」
と言う。
ある店舗ではクレーム対応を
組織で引き受ける。
別の店舗では現場任せになる。
このように対応がバラバラになると、
従業員はかえって不安になります。
「どこまで我慢すればいいのか」
「どのタイミングで相談してよいのか」
「自分の判断は間違っていないのか」
こうした迷いが
生まれやすくなるのです。
つまり、カスハラ予防には、
ルールと関係性の両方が必要です。
ルールは行動の枠組みを与えます。
関係性は、
その枠組みを使う勇気を与えます。
この両輪が揃って初めて、
組織としてのカスハラ対策は
機能し始めます。
管理職の初期対応が、
相談しやすさを左右する
カスハラ対策を
現場に根づかせるうえで、
特に重要になるのが
管理職の初期対応です。
従業員が勇気を出して相談したとき、
最初にどのような言葉をかけるか。
ここで、その後の相談しやすさが
大きく変わります。
たとえば、相談を受けたときに、
「なんで早く言わなかったの?」
「あなたの対応にも
問題があったんじゃない?」
「そのくらいで騒がないで」
と返してしまうと、
従業員は次から相談しなくなります。
一方で、
「よく上げてくれた」
「ひとりで抱えなくて大丈夫」
「一緒に対応を考えよう」
と受け止めてもらえれば、
従業員は安心できます。
もちろん、事実確認は必要です。
従業員側の対応を
振り返る場面もあるでしょう。
しかし、最初から責めるような
受け止め方をすると、
相談そのものが止まってしまいます。
まずは受容する。
そのうえで事実を確認し、
対応方針を考える。
この順番が大切です。
日頃の小さな声かけが、
いざというときの相談につながる
関係性づくりというと、
大きな取り組みを
イメージするかもしれません。
しかし、特別なことばかりが
必要なわけではありません。
日頃から上司が、
「困ったお客さんはいなかった?」
「対応で迷ったことはなかった?」
「何か気になることがあれば早めに言ってね」
と声をかける。
報告を受けたときには、
「教えてくれてありがとう」
「早めに共有してくれて助かった」
と伝える。
こうした小さな積み重ねが、
いざというときに
「相談していい」
という安心感を生みます。
相談した人を責めない。
報告してくれたことを肯定する。
一人で抱え込ませず、
組織として対応する。
この空気がある職場では、
ルールが現場で使われやすくなります。
人事・総務が確認したいポイント
人事・総務の立場では、
カスハラ対策として
ルールやマニュアルを
整備するだけでなく、
現場でそのルールが使える
状態になっているかを
確認することが大切です。
たとえば、次のような視点です。
・従業員は、どのような場合に
相談してよいか理解しているか
・管理職は、相談を受けたときの
初期対応を理解しているか
・相談後の対応フローが
明確になっているか
・相談した従業員が
責められない空気があるか
・現場任せにならず、
組織として対応する体制があるか
カスハラ対策は、
マニュアルを作って
終わりではありません。
そのマニュアルが
現場で使われるための
土壌を整えることまで含めて、
対策です。
管理職向けの研修で、
相談を受けたときの
関わり方を共有する。
相談記録の運用を仕組み化する。
報告後に誰がどのように
対応するのかを明確にする。
こうした地道な取り組みが、
現場の安心感につながります。
ルールは仕組み、関係性は土壌
ルールは仕組みです。
そして、関係性は土壌です。
土のないところに種を蒔いても、
芽は出ません。
どれほど立派なルールを整えても、
現場に相談しづらい空気があれば、
そのルールは活かされません。
反対に、関係性が良くても、
判断基準がなければ、
対応は人任せになってしまいます。
カスハラ予防に必要なのは、
ルールと関係性の両方です。
今いちど、
自社の状態を振り返ってみましょう。
社員が安心して
相談できる職場になっているか。
管理職が相談を
受け止める姿勢を持てているか。
ルールが、現場で実際に
使えるものになっているか。
この問いから、
カスハラ対策は一歩前に進みます。
カスハラ対策に取り組みたい企業様へ
カスハラ対策は、
マニュアルを作ることだけが
目的ではありません。
現場の社員が安心して働けるように、
会社としての方針、判断基準、
相談体制を整えることが大切です。
CocoroManagements株式会社では、
会社の状況に合わせた
カスハラ対策マニュアルの作成、
社内研修、相談体制づくりを
支援しています。
社員を守り、
安心して働ける職場づくりを
進めたい企業様は、
お気軽にご相談ください。
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ありがとうございました。
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人材定着と信頼型組織づくりの伴走役
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岩出 優(いわでゆう)
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