人材定着と信頼型組織づくりの伴走役
企業経営カウンセラー® 岩出優です。
離職は突然ではない。
社員が辞める前に
出ている小さな前兆とは
社員から突然、
「退職したいです」
と言われた経験は
ないでしょうか。
昨日まで普通に働いていた
ように見えた社員から、
急に退職の申し出を受けると、
経営者や上司としては
大きな驚きがあります。
「何かあったのか」
「なぜもっと早く
言ってくれなかったのか」
「こちらは普通に接していた
つもりだったのに」
このように感じることも
あるかもしれません。
しかし、
実際には多くの離職は、
ある日突然起きている
わけではありません。
本人の中では、不安や不満、
違和感、孤独感が
少しずつ積み重なり、
その結果として退職という
判断に至っていることが
少なくありません。
つまり、
退職の申し出は突然でも、
その前には小さな前兆が
出ていることが多いのです。
離職の前に出やすい小さなサイン
社員が辞める前には、
目立ったトラブルよりも、
日常の小さな変化として
サインが出ることがあります。
たとえば、次のような変化です。
・以前より口数が減る
・相談や雑談が少なくなる
・会議で発言しなくなる
・表情が硬くなる
・言われたことはやるが、
それ以上の関わりを持たなくなる
・休憩中や雑談の輪に入らなくなる
・仕事への前向きな発言が減る
一つひとつは、
すぐに問題視するほどの
変化ではないかもしれません。
「忙しいだけだろう」
「少し疲れているのだろう」
「そういう時期もあるだろう」
と受け流してしまう
こともあります。
もちろん、
すべての変化が離職に
直結するわけではありません。
ただ、こうした変化が
続いている場合、
本人の中で職場への
期待や安心感が
少しずつ薄れている
可能性があります。
離職の前兆は、
大きな不満として
表に出るとは限りません。
むしろ、静かになる
ことがあります。
文句を言わない。
反発しない。
淡々と仕事をする。
一見すると問題がないように
見える状態の中で、
心の距離だけが少しずつ
離れていることがあるのです。
本人にとって
退職は突然ではない
周囲から見ると、
退職の申し出は突然に感じます。
しかし、本人からすると、
突然ではないことが多いです。
入社時に思っていた仕事と違った。
上司や先輩に相談しづらかった。
頑張っても見てもらえて
いないと感じた。
職場の中で孤立していた。
期待されていることが
分からなかった。
困っていても、
誰にも言えなかった。
こうした小さな違和感が
積み重なることで、
少しずつ気持ちが離れていきます。
最初は、
「もう少し頑張ってみよう」
と思っていたかもしれません。
次に、
「言っても変わらないかもしれない」
と感じるようになります。
そして最後には、
「この会社で続けていくのは難しい」
という結論に至ります。
退職の申し出は、
その人の中では
長い時間をかけて出した
結論であることが多いのです。
だからこそ、
辞めると言われてから
慌てて面談をしても、
すでに気持ちが固まっている
場合があります。
条件を変える。
配置を変える。
上司が引き止める。
こうした対応で
一時的に残るケースもあります。
しかし、それだけでは
根本的な定着には
つながりにくいのです。
離職を防ぐには、
辞める前の変化に
気づくことが大切
人材定着を考えるうえで
大切なのは、退職の申し出を
受けてから対応すること
ではありません。
もっと前の段階で、
小さな変化に気づくことです。
たとえば、次のような
視点が大切になります。
入社直後に戸惑っていないか。
上司や先輩に相談しやすい状態か。
職場の中で孤立していないか。
期待されている役割を
理解できているか。
頑張りがきちんと
見てもらえていると
感じているか。
仕事量や責任が
本人にとって
過度な負担になっていないか。
こうしたことを
日常の中で見ていくことで、
離職の芽に早く気づける
ようになります。
特に中小企業では、
制度や仕組みが十分に
整っていないこともあります。
その分、上司や経営者が
日常の変化に
気づけるかどうかが、
人材定着に大きく影響します。
「いつもと少し違う」
この小さな違和感を
見逃さないことが大切です。
1on1は離職の前兆に
気づくための対話の場
離職の前兆に気づく
方法の一つが、1on1です。
1on1というと、
業務の進捗確認や
指導の場として
行われることがあります。
もちろん、仕事の状況を
確認することも大切です。
ただ、
1on1の本来の役割は、
それだけではありません。
相手の状態を知ること。
普段は言いにくい不安や迷いを
言葉にしてもらうこと。
小さな違和感を早めに拾うこと。
これが、1on1の大切な役割です。
日常業務の中では、
社員が本音を話すタイミングは
なかなかありません。
忙しそうな上司に
声をかけづらい。
こんなことを相談して
よいのか分からない。
弱音を吐いていると
思われたくない。
評価に影響するのではないか。
そう考えて、
本音をしまい込んで
しまう社員もいます。
だからこそ、
あらためて話す場を
つくることが大切です。
1on1で聞きたい問い
1on1では、難しい質問を
する必要はありません。
むしろ、シンプルな問いを
丁寧に重ねることが大切です。
「最近どうですか」
「困っていることは
ありませんか」
「仕事でやりづらさを
感じていることはありますか」
「周囲に相談しやすい状態ですか」
「この職場でやっていけそうですか」
「今の仕事で
不安に感じている
ことはありますか」
「頑張っていることが、
きちんと見てもらえている
感覚はありますか」
こうした問いを通じて、
本人の状態を知っていきます。
大切なのは、
問い詰めることではありません。
すぐに正論で返す
ことでもありません。
「それは甘えだ」
「みんな同じように頑張っている」
「もっと前向きに考えよう」
このように返してしまうと、
社員は次から本音を
話しづらくなります。
まずは、本人がどのように
感じているのかを
受け止めること。
そのうえで、
一緒に考える姿勢を持つこと。
この積み重ねが、
相談しやすい関係性に
つながります。
退職理由の分析だけでは、
定着は進まない
人が辞めた後に、
退職理由を
分析することは大切です。
なぜ辞めたのか。
何が不満だったのか。
どこに改善点があったのか。
これらを振り返ることは、
今後の組織づくりに必要です。
ただし、
退職後の分析だけでは
後追いになってしまいます。
本当に人が辞めにくい
組織をつくるには、
退職後ではなく、
在職中の小さなサインに
目を向ける必要があります。
口数が減った。
表情が硬くなった。
相談が減った。
会議で発言しなくなった。
職場との関わりが薄くなった。
こうした変化に
気づいたときに、
早めに声を
かけられるかどうか。
ここに、組織の
人材定着力が表れます。
人材定着の第一歩は、
小さな違和感に気づくこと
離職は、
突然起きるように見えて、
実は前兆があることが
多いものです。
その前兆は、
大きなトラブルではなく、
日々の小さな変化
として表れます。
だからこそ、
経営者や管理職に
求められるのは、
社員を細かく監視する
ことではありません。
日常の変化に
関心を持つことです。
そして、気づいたときに
声をかけることです。
「最近、少し元気がないように
見えるけれど、何かあった?」
「困っていることがあれば、
一緒に考えたい」
このような一言が、
社員にとっては
大きな安心につながる
ことがあります。
人が辞めない組織づくりは、
特別な制度だけで
実現するものではありません。
日々の小さな変化に気づき、
対話を重ねること。
1on1のような場を、
形式的な面談ではなく、
相手の状態を知る時間に
していくこと。
それが、人材定着の
土台になります。
お読みいただいた方へ
今日もお読みいただき、
ありがとうございました。
組織の
人材定着力を高める上で
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人材定着と信頼型組織づくりの伴走役
企業経営カウンセラー®
岩出 優(いわでゆう)
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