人が辞める会社は、
辞める前のサインを見逃しやすい
社員の退職は、ある日突然
起きるように見えることがあります。
昨日まで普通に働いていた社員から、
急に「辞めます」と言われる。
経営者や管理職の
立場からすると、驚きますし、
「もっと早く言って
くれればよかったのに」
と感じることも
あるのではないでしょうか。
しかし実際には、
退職の前に小さな変化が
積み重なっていることが
少なくありません。
表情が少し暗い。
以前より口数が減っている。
相談や質問が減っている。
会議で発言しなくなっている。
報連相が少し雑になっている。
一つひとつは、
本当に小さな変化です。
だからこそ、職場では
見過ごされやすくなります。
退職のサインは
「小さな違和感」として表れる
社員が辞める前には、
必ず大きなトラブルが
起きるわけではありません。
むしろ多いのは、
日常の中にある小さな違和感です。
少し元気がない。
少し反応が鈍い。
少し会話が減った。
少し距離を感じる。
少し仕事への関心が
薄れているように見える。
こうした変化は、
明確な問題として
扱いにくいものです。
欠勤が増えたわけではない。
大きなミスをしたわけでもない。
業務を放棄しているわけでもない。
本人から不満を言われたわけでもない。
そのため、つい
「今は忙しいだけだろう」
「少し疲れているだけだろう」
「これくらい誰でもある」
「そのうち戻るだろう」
と考えてしまいます。
もちろん、すべての変化を
深刻に受け止めすぎる
必要はありません。
ただ、この「これくらい大丈夫」
という感覚が、離職のサインを
見逃す原因になることがあります。
人が辞めやすい会社は、
問題が見えていないわけではない
人が辞めやすい会社は、
社員の変化にまったく
気づいていないわけではありません。
むしろ、
「あれ、最近少し元気がないな」
「前より話さなくなったな」
「なんとなく距離を感じるな」
と、何かしらの違和感には
気づいていることもあります。
ただ、それを
「問題」として扱っていないのです。
本人が何も言わないから大丈夫。
まだ会社には来ているから大丈夫。
明確なトラブルに
なっていないから大丈夫。
成果が大きく落ちている
わけではないから大丈夫。
このように判断しているうちに、
本人の中では不安や不満、
孤独感、あきらめが
少しずつ積み重なっていきます。
そして、ある時になって初めて、
「辞めます」
という言葉として表に出てきます。
会社側はそこで
「突然辞めると言われた」と感じます。
しかし、本人の中では
突然ではありません。
小さなサインを、
小さいまま放置してきた結果として、
退職という形になって
表れていることがあります。
「本人が何も言わない」
は安心材料ではない
職場ではよく、
「本人から何も言ってこないから
大丈夫だと思っていた」
という話があります。
しかし、本人が何も言わないことは、
必ずしも問題がないことを意味しません。
言っても変わらないと思っている。
相談しても迷惑だと思っている。
弱音を吐くと評価が下がると思っている。
すでに気持ちが離れ始めている。
波風を立てずに辞めようと考えている。
こうした状態になると、
社員は本音を話さなくなります。
むしろ、辞める決意が固まるほど、
表面上は淡々と
仕事をすることもあります。
だからこそ、会社側が
「何も言ってこないから大丈夫」
と判断してしまうと、
手を打つタイミングを
逃してしまいます。
大切なのは、
本人が声を上げる前に、
周囲が小さな変化に
気づけるかどうかです。
本当に注意すべきなのは、
大きな問題になる前
離職防止を考えるとき、
本当に注意すべきなのは
大きな問題が起きた
後だけではありません。
むしろ大切なのは、
大きな問題になる前の小さな変化です。
たとえば、
以前はよく相談していた社員が、
最近は何も聞いてこなくなった。
会議で積極的に発言していた社員が、
最近は黙っていることが増えた。
雑談では笑っていた社員が、
最近は必要最低限の
会話しかしなくなった。
これらは、すぐに退職に
直結するとは限りません。
ただ、職場との心理的な
距離が少しずつ広がっている
可能性があります。
人は、辞めると決めた瞬間に
突然悩み始める
わけではありません。
その前に、何度も迷い、
我慢し、期待し、
あきらめていることがあります。
だからこそ、
小さな変化を小さいうちに
受け止めることが大切です。
人が続く会社は、
小さな違和感を軽く扱わない
人が続く会社は、
小さな違和感を軽く扱いません。
もちろん、大げさに
騒ぐわけではありません。
少し元気がない社員を見つけて、
すぐに問い詰めたり、
問題視したりするわけでも
ありません。
そうではなく、早めに気にかけます。
最近どうか。
困っていることはないか。
無理をしていないか。
何か引っかかっていることはないか。
仕事の進め方で気になることはないか。
こうした一声があるだけで、
本人が抱えているものが
表に出やすくなることがあります。
もちろん、
一度声をかけたからといって、
すぐに本音を話してくれるとは限りません。
それでも、
「この人は気にかけてくれている」
「自分の変化に気づいてくれている」
「困ったときに話してもいいかもしれない」
と思えることは、
社員にとって大きな安心になります。
離職防止は制度だけではなく、
日常の関わりから始まる
離職防止というと、
給与、休日、福利厚生、
評価制度、面談制度などに
目が向きやすくなります。
もちろん、それらは大切です。
条件面があまりに厳しければ、
人が続くことは難しくなります。
ただ、制度や条件だけで
離職が防げるわけではありません。
日々の小さな変化に気づくこと。
早めに声をかけること。
社員の違和感を、
違和感のまま受け止めること。
本人が話しやすい
関係をつくっておくこと。
こうした日常の積み重ねが、
人が続く職場の土台になります。
社員は、自分の変化に
気づいてもらえる職場では
孤立しにくくなります。
反対に、どれだけ苦しくても
誰にも気づかれない職場では、
少しずつ気持ちが離れていきます。
まとめ:小さなサインを、
小さいうちに受け止める
離職は、突然ではありません。
その前に、小さな違和感が
出ていることがあります。
大切なのは、その違和感を
「気のせい」
「一時的なもの」
「本人の問題」
として片づけないことです。
少し表情が暗い。
少し会話が減った。
少し反応が変わった。
少し距離を感じる。
その小さな変化に、
早めに気づけるかどうか。
そして、気づいたときに、
責めるのではなく、
気にかける一声を
かけられるかどうか。
そのちょっとした違いに、
続く会社と辞める会社の
差があります。
人材定着は、
特別な制度だけで
実現するものではありません。
日々の小さな違和感を見逃さず、
早めに関わること。
そこから、人が安心して
働き続けられる職場づくりは
始まります。
お読みいただいた方へ
今日もお読みいただき、
ありがとうございました。
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岩出 優(いわでゆう)
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