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離職の背景にある不安

離職の背景にある

「職場への不安」を見逃していませんか

 

社員から退職届を受け取ったとき、

 

「まさかあの人が辞めるとは思わなかった」

 

と感じた経験はないでしょうか。

 

表面上は淡々と仕事をこなし、

大きな不満を口にすることもなかった人。

 

周囲との関係も悪く見えず、

勤務態度にも大きな問題はなかった。

 

それなのに、ある日突然、

退職の意思を伝えられる。

 

こうした場面に直面すると、

会社側は戸惑います。

 

「もっと早く言ってくれればよかったのに」

「不満があるようには見えなかった」

「急に辞めるなんて思わなかった」

 

しかし、離職は本当に

突然起きているのでしょうか。

 

実際には、退職の背景に、

長いあいだ本人の中で抱え込まれてきた

「職場への不安」があることも少なくありません。

 

離職の背景には、見えにくい不安がある

 

離職理由というと、

給与、休日、労働時間、

キャリアアップなどの条件面に

目が向きやすくなります。

 

もちろん、条件面は重要です。

生活に直結するため、

無視できるものではありません。

 

ただ、実際の離職の背景には、

もっと見えにくい不安が

隠れていることがあります。

 

たとえば、

 

上司の機嫌をいつも気にしている。

同僚との距離感に悩んでいる。

職場で自分が

どう見られているのか不安になる。

 

相談したいことがあっても、

誰にどこまで話していいのか分からない。

評価に納得できないけれど、

言うと面倒な人だと思われそうで言えない。

 

こうした不安は、

一つひとつを見ると

小さなものに見えるかもしれません。

 

しかし、本人の中では

少しずつ積み重なっていきます。

 

そしてある日、

ふっと糸が切れるように、

退職の決断につながることがあります。

 

離職とは、派手な不満の爆発ではなく、

静かに進んでいた不安の

結果であることも多いのです。

 

「本人の受け止め方の問題」で

片づけていないか

 

職場で不安を抱える社員に対して、

 

「気にしすぎではないか」

「本人の受け止め方の問題ではないか」

「もっと強くなってほしい」

 

と考えてしまうことがあります。

 

確かに、感じ方には個人差があります。

 

同じ言葉を受けても、

それほど気にしない人もいれば、

深く受け止める人もいます。

 

しかし、そこで終わらせてしまうと、

組織として見直すべき課題を

見落としてしまうことがあります。

 

現場でよく見られるのは、

不安が生まれやすい

「仕組みの隙間」が

放置されているケースです。

 

たとえば、評価の基準が

上司の感覚に大きく委ねられている。

 

相談窓口はあるけれど、

実際には誰も使っていない。

 

定期面談はあるものの、

中身は業務報告だけで終わっている。

 

困ったときに相談できる相手が、

直属の上司しかいない。

 

こうした状態では、社員は

 

「何を言っていいのか」

「どこまで話していいのか」

「言ったあとに不利にならないか」

 

が分からなくなります。

 

その結果、自分の中だけで不安を

処理するしかなくなるのです。

 

面談や相談窓口があっても、

本音が出るとは限らない

 

多くの会社には、

何らかの面談や

相談の仕組みがあります。

 

1on1。

定期面談。

人事面談。

相談窓口。

職場アンケート。

 

こうした仕組み自体は、とても大切です。

 

ただし、大切なのは

「仕組みがあるかどうか」

ではありません。

 

その仕組みが、

本当に不安を出せる場に

なっているかどうかです。

 

たとえば、面談があっても、

上司からの確認や指摘ばかりに

なっていれば、

社員は本音を話しにくくなります。

 

相談窓口があっても、

誰が対応するのか分からなかったり、

相談したことが上司に

伝わるのではないかと感じたりすれば、

利用することは難しくなります。

 

アンケートを取っても、

その後に何も変わらなければ、

社員は次第に

 

「言っても意味がない」

 

と感じるようになります。

 

不安を扱う仕組みは、

形だけ整えても機能しません。

 

社員が

 

「ここでは言っても大丈夫だ」

 

と思える設計になっていることが必要です。

 

不安が表に出てくる経路をつくる

 

離職防止のために

組織として取り組むなら、

まず必要なのは

「不安が表に出てくる経路」

を用意することです。

 

たとえば、

直属の上司との面談とは別に、

斜めの関係にあたる先輩や

他部署のメンターと話せる機会を設ける。

 

評価のフィードバックを、

単なる結果通知ではなく、

本人の納得感を確認する

対話の場として設計し直す。

 

職場アンケートも、

点数を集めるためではなく、

その後の対話につなげる

入り口として位置づける。

 

日々の朝礼やミーティングの中でも、

業務の進捗だけでなく、

困りごとや引っかかりを

出せる時間を少しだけつくる。

 

こうした取り組みは、

派手な制度ではありません。

すぐに大きな成果が

見えるものでもありません。

 

しかし、こうした地味な制度設計が、

実は一番効いてくることがあります。

 

なぜなら、不安は

「言える場所がある」

と知っているだけで、

かなりやわらぐものだからです。

 

管理職が一人で

抱え込まない仕組みも必要

 

一方で、仕組みを入れただけでは動きません。

 

制度を運用する管理職の側に、

 

「部下の不安は弱さではなく、

職場からのサインである」

 

という共通理解が必要です。

 

ここがないまま面談を増やしても、

ただの確認作業になってしまいます。

 

場合によっては、

面談が尋問のような場になり、

かえって社員の不安を

強めてしまうこともあります。

 

だからこそ、

制度づくりと並行して、

管理職同士が部下の

様子について率直に話せる場も

整えておきたいところです。

 

「あの人、最近少し元気がない気がする」

「この前の面談で、少し引っかかる反応があった」

「自分だけでは受け止めきれないかもしれない」

 

こうしたことを、

管理職が一人で抱え込まずに話せる。

 

その構造があるだけで、

現場の見え方は変わります。

 

管理職が孤立しないことは、

結果として部下の安心感にも

つながっていきます。

 

辞めない職場は、

不安をゼロにする職場ではない

 

ここで誤解してはいけないのは、

不安をゼロにすることが

目的ではないということです。

 

どんな職場にも不安はあります。

 

人間関係の不安。

評価への不安。

将来への不安。

自分の力が通用するかという不安。

 

これらを完全になくすことはできません。

 

大切なのは、

不安が生まれたときに、

それを一人で抱え込まなくてよい

状態をつくることです。

 

言える場所がある。

受け止めてくれる人がいる。

話したことが、少しでも改善につながる。

 

そう感じられる職場では、社員は簡単には離れていきません。

 

反対に、

どれだけ制度が整っていても、

不安を口にできない職場では、

人は静かに離れていきます。

 

まずは、今ある仕組みを問い直す

 

離職防止のために、

特別な制度をいきなり

導入する必要はありません。

 

まずは、自社にある

面談や相談の仕組みを

一度棚卸ししてみることです。

 

そして、次のように問い直してみる。

 

この面談は、本当に本音が出てくる

設計になっているだろうか。

 

社員は、安心して

不安を話せるだろうか。

 

管理職は、一人で抱え込まずに

相談できているだろうか。

 

アンケートや面談の結果は、

その後の対話に

つながっているだろうか。

 

離職の背景には、

給与や待遇だけでは

見えない不安があります。

 

その不安を個人の問題として

片づけるのではなく、

職場からのサインとして扱うこと。

 

その積み重ねが、

社員が安心して

働き続けられる

職場の土台をつくっていきます。

 

 

 

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人材定着と信頼型組織づくりの伴走役

 企業経営カウンセラー® 

岩出 優(いわでゆう)

 

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